ヤスハラ・マーケティング・オフィスの近況

05月01日

拙著「マーケティングの基本」が増刷となりました。ありがとうございます!本書は2009年の初版から8年。今回で18刷となりました。多くのご購読者の方々に御礼申し上げます。


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相変わらず、経営コンサルタントや研修講師の方々にセミナー等でのサブテキストとしてご利用いただいているようです。プロフェッショナルからの推奨とは、光栄の極みです!


■ファシリテーション講座「ポストイットの総移動距離」を目安にする


グループワークで課題に取り組む作業をファシリテーションを行う場合、ファシリテーターとして進行が上手くいっているかどうかを測る視点がいくつかあります。今回もその一つ。ポストイットの総移動距離でグループワークの有効度合いを測るというものです。


特に、参加人数が多く、複数のグループ(グループ数が3以上)でのファシリテーションなどでは、個別グループの討議内容を把握することは難しいですから、こういった基準は役に立つのではないでしょうか。


ここでの前提として・・・
・グループワーク人数が5−10の範囲
・ホワイトボード(模造紙)での討議作業
・ポストイットの利用
・・・・です。


さて、最後のポストイットを活用するとき、重要な指標が「貼られたポストイットの総移動距離」です。その前に、グループワークのホワイトボード上での大きな流れを説明しましょう。


大きくは「拡散ー収束」です。複数の視点で情報を集めて共有していく過程が拡散です。その後、グルーピングや樹形図などを活用してメタな視点で情報を圧縮していく過程が収束となります。ポストイット的な視点から見るなら、「拡散=ポストイット数が増加」「収束=ポストイット数が減少」が一般的です。


ただし、収束時は上位概念(抽象化された)による新たなフレーム枠としてのポストイットが登場するので、ホワイトボード的には、「討議に不要にになったポストイットが増加」と言った方がただしいかもしれません。


この増減の風景は、グループワークの時間配分を見るような場面では有効です。「あ、あのグループはポストイット数が減少に転じたから、収束モードかな。時間的には早すぎるから、もう少し拡散に集中できるようにコメントしてこよう」なんていうのは離れた場所から眺めていても判断が効くのです。


しかし、「拡散ー収束」ができたとしても結果が望ましいものになるかどうかは別です。なぜなら、質的な状況はポストイットの増減ではなく、ポストイットの移動距離が多いかどうかが重要だからです。


では本題に入っていきましょう。


まず、前提から。さきほどの「拡散ー収束」のタイムテーブルですが、もっともキモなのは、拡散と収束の間にある潮目です。そして、この潮目に混沌(こんとん)、つまりカオスがあるかどうかがグループワークの質に大きく影響を及ぼすのです。


拡散→混沌が小さい→収束=あまり収穫のないグループワーク
(予定調和なセッション)


拡散→混沌が大きい→収束=収穫と言えるいい感じのグループワーク
(創発のあるセッション)


混沌とは、参加メンバーがどうしていいか分からない状態です。今までの判断基準ではにっちもさっちもな感覚になっています。この進退窮まった感こそが、混沌が打診してくる新しい視点でなのです。混沌が小さいセッションは予定調和的な内容になっている可能性が高いのです。どこかで見たいつもの結論ってやつです。


そこでです。この混沌の有無を、たとえ会議室の反対側にファシリテーターが座っていたとしても、視認できるというのが「ポストイットの総移動量」なのです。


硬く書くと・・・・


「ポストイット総移動量」
=「ホワイトボードに貼られた枚数」X「一枚ごとのホワイトボード内での移動距離」


・・・てな感じです。


右辺を見ていくと確かに、拡散期に出てきたポストイットの数も重要な要素になっています。量的な部分ですね。すると、もう一つの「一枚ごとの移動距離」っていうのは何か?となります。これは、一度貼られたポストイットが張り直されて別の場所に移動したことを意味します。こちらが質的な部分です。


「ねえ、このポストイットはこっちの方がいいなんじゃない?」とか「まて、このポストイットの集まりって、こっちの集まりの影響でできているよね?」なんていう会話の元にホワイトボードの中をあっちに行ったり、こっちに行ったりするわけです。


すなわち、初期の思考マップ(=はじめのホワイトボード)からの変容が表出(=貼り直されたホワイトボード)しているです。ポストイットの移動は混沌における「もがき」であり、知的苦悶ですから、創発(既存の思考での対立や葛藤が否定されずに統合された状態)に近ずいている可能性があります。


遠くから眺めていると、「ずいぶん絵柄が変わってきたな」という印象を受けます。こういうときは余計なアドバイスは無用のバイアスを生むだけですから、黙って暖かく見守ってあげるのがファシリテーターの慈愛なのです。


この反対に、いくら討議が盛り上がっているように見えても「最初に貼った姿が変わった様子もないな」というケースでは、積極的に介入します。「このポストイットって、こっちでもいいんじゃないの?」な〜んて貼り直しを演じて見せ、「これで結論だ」と決めにかかっているメンバーに「やり直し」という名の絶望感(ある時には怒りw)を提供するのが、これまたファシリテーターの慈愛なのです。


04月19日

信州松本も春。湿度が低いエリアならではの爽やかさが充満してきました。ありがたいです。


いろいろ執筆というか、書き物の作業に没頭しつつあります。「しつつ」というボヤけたニュアンスは、コンサル案件が一息ついたこと、子供の終日保育が始まること、自転車で積極的にカフェに行ける暖かさになったことなどが含まれております。


それにしても、この近況報告はいつまで続けたものか・・・。新規顧客からの案件を受託する気があまりないのであれば、サイトそのものもいつ消してもいい存在なのだが。これもまた思索の壁打ちなのかな?(以下詳細w)


■一人創発のための、思索の壁打ち4種


何か新しい考え、アイデアを表現し、実現させようとする時、自分の頭の中だけでは形にしていくのに限界があります。なぜかというと、「思いつく」「描く」「動く」の間には、結構な距離があるからです。最終的に行動に移すには、どうしても「こねる」ステップがそれぞれ必要なのです。


さて、その「こねる」ですが、これには相手が必要となります。広くて固い台の上で「こねる」。この台の役割が相手であり、一連の「こねる」作業こそが壁打ちってやつです。なんらかのヒッティング・パートナーがいることで、自分の考えを打ち合っては、「こねて」いくのです。


自分の場合、思索の壁打ちには4種あります。メモ、対話、読書、散策。もちろん、それぞれ役割があります。


(1)メモ:
紙に思索のキーワードや図表を手書きし、これを眺めては再考したり、熟考したりするものです。自筆に壁打ちします。壁打ちの基本です。ストレートな返しに応えてみます。


(2)対話:
気心の知れた友人に語りながら、相手からの質問や意見で再考したり、熟考したりします。他者への壁打ちです。人間ならではの変化球に反応してみます。


(3)読書:
関連分野の古典などを読みながら、言葉や文章からきっかけをもらいながら、再考したり、熟考したりします。他筆に壁打ちです。 時間を背負った重い球質を受けてみます。


(4)散策:
景観の良い場所を歩きながら、目や耳からの情報に脳を任せて、湧き上がってくる不意のひらめきで、再考したり、熟考したりします。他景に壁打ちとなります。とっさに出てくるボールに応答してみます。


(1)→(2)→(1)→(3)→(1)→(4)→みたいな、(1)のメモ中心に回していくのが一般的ではないかと思います。どんな順番だとしても、こういった壁打ち、相互のリフレクションに思索の進化を期待するわけです。


どうも、アウトプットとインプットの間にある微妙な何かが・・・ズレ、不協和音、違和感とも言えますけど、自分の中で新たな創発をさせる起爆材になるのではないでしょうか。


きっと、創発は一人でもできるのです。

04月04日

◆本
拙著「ブランディングの基本」が増刷となりました。2014年からなので、ほぼ3年で5刷目です。


本人のキャラに似合わず、長く細くでしょうか。ご購読いただいた方々には深く感謝いたします。ありがとうございます!


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◆◆カフェ
4月になりました。信州松本もそろそろ春です。自転車の稼働率が上がるので、駐車場がないカフェへも容易に出没できる季節となりました。もちろん、緑が濃くなれば足を延ばして安曇野界隈もお邪魔します。


カフェは仕事場です。作業環境はとっても大切なので、気分に合った選択をさせていただいております。とはいえ、定休日を逐一記憶できるはずもなく、一覧表にしているのでした。出没リストとも言えます。


しかし、数がありますねえ。新店もぞくぞく登場するので、ちょっとしたカフェ・バブルなのでしょうか。実力が問われますな。
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◆◆◆仕事
本業のほうは、東京での短期案件があり、先週・今週と通っております。いつの間にか信州生活に染まったようで、正直な話、ビルが林立する中での滞在が辛くなってきました。一時期、都心のど真ん中のペントハウスでぶいぶい言わせていた(笑)のが嘘のようです。


一方その頃、次の本業というか、単なる採算の見込みのない道楽というか、第二ブランド市場導入のための作業は着々と(むしろ遅々としてなのかも)進んでいたのでした。予告では春スタートということでしたが、信州の春は遅いんですね。まあ、そういうことにしておきましょう。